最優秀起業家賞
金沢医科大学発のベンチャー企業であるFDD-MB(株)(内灘町)の高林晴夫CEOは、母体血を使った胎児のDNA診断サービス事業について発表し、最優秀起業家賞を獲得した。このサービスでは、胎盤を通じて胎児から母親の血液中へと移行している胎児細胞(有核赤血球)を分析して、胎児のDNA疾患や染色体異常について診断する。母体血に含まれる胎児細胞は、1mℓに1個程度とごくわずかだが、同社では、これを自動的に検出、回収する装置を開発。安心して出産したいと考える妊婦の要望に応えるほか、胎児の救命や早期治療に貢献する。出生前検査では従来、母親から採取した羊水や絨毛が用いられてきたが、この方法では、妊婦の肉体的、精神的負担が大きく、流産のリスクもあった。一方、同社が開発した方法ならば、血液を採取するだけなので妊婦の負担は小さく、流産の心配もない。また、妊娠10週目という初期段階で検査が可能であり、採血から4〜5日で結果が判明するという点でも現在の手法より優れている。検査費用は従来法と同程度になる予定だ。出生前検査は国内で年間約2万件、世界で年間約500万件が実施されており、高林CEOは、「安全・安心な当社のシステムが普及すれば、全世界の1年間の出産件数の15%にあたる、およそ2,000万件のニーズが見込める」と話す。来年には、ライセンス契約を結んだ国内外の企業に診断方法や装置に関する特許、ノウハウを提供する計画で、平成24年のサービス開始を目指している。