最優秀起業家賞
500万円のスタートアップ補助金が交付される最優秀起業家賞に輝いた谷口さんは、超高効率の「フォトバイオリアクター」について発表した。
フォトバイオリアクターとは、光合成を行う微生物を培養するための装置である。これらの微生物は光をエネルギー源として二酸化炭素と水から、医薬品や健康食品、燃料、化学工業材料といった有用な物質を作り出す。
谷口さんが開発したフォトバイオリアクターは、独自に開発した光る糸を数百本から数千本配置した容器の中で、微生物を生育する仕組みだ。光が回り込んで伝わる回折現象を制御する技術を駆使し、微生物に全方位から光を照射する。従来のフォトバイオリアクターに比べ、数百分の一程度に省スペース化が可能で、エネルギー効率も10倍以上と実用化レベルに達している。
既に国内外で知的財産権を確立し、製造に必要なコア技術についてはブラックボックス化して、参入障壁を築いた。今後、化学工業材料や食品、SAF(代替航空燃料)などのメーカーにライセンスを供与して収益を得る。
フォトバイオリアクターは、脱炭素化や石油資源の枯渇、温暖化、食糧不足といった地球規模の課題の解決手段として注目されており、谷口さんは新開発の装置をバイオテクノロジーによる産業革命の起爆剤にしたいと未来図を描いている。