2011 AWARD 2011年度の受賞者

最優秀起業家賞

金沢発のゲームを世界へ

名倉 剛

NAGURA TAKESHI

金沢発のゲームを世界へ

名倉 剛

NAGURA TAKESHI

最優秀起業家賞を獲得したグランゼーラ(金沢市)の名倉剛代表が提案したのは、金沢で制作したゲームを世界中の人々に販売するというビジネスプランである。同社の主力は、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の家庭用ゲーム機「PlayStation 3(PS3)」や携帯ゲーム機「PlayStation Vita」向けのゲームソフトの開発だ。また、PS3 のオンラインでつながる仮想空間「PlayStation Home」の制作や運営、この空間でアバター(ユーザーの分身)が身に付ける衣装やアイテムなどの販売を手がけている。こうしたサービスはSCE のPlayStation Network を通じて日本はもちろん欧米やアジアなど世界の国々で利用することが可能。名倉代表はこうした流通インフラを活用して、自社ブランドのゲームを海外に販売するというわけだ。名倉代表はこれまで、20 年以上にわたってゲーム開発に携わった経験を持ち、今年4 月に起業した。独立前には、震災や水害によって崩壊した都市から仲間と助け合って脱出するゲームをはじめ、斬新なゲームを創出、ヒットさせた実績もあり、「新たなジャンルを生み出し、そこでナンバーワンの存在を目指す」と気を吐く。すでに今年7 月に南海の孤島を舞台にしたPlayStation Home のラウンジ(仮想空間)を開設しており、9 月からは海外でもサービスの提供が始まった。来年初めには新作ゲームの発売を予定する。一方で、地元の大学との連携プロジェクトも計画し、「ゆくゆくは金沢をたくさんのデジタルエンターテインメントの会社ができるような街にしたい」と思いをはせている。

優秀起業家賞

ユーザー目線で二輪車グッズを開発

片岡 匡史

KATAOKA TADASHI

ユーザー目線で二輪車グッズを開発

片岡 匡史

KATAOKA TADASHI

ウインズジャパン(金沢市)の片岡匡史代表は、ユーザー目線を取り入れたオートバイ関連商品の企画、開発について発表した。元二輪レーサーでバイクショップを経営する片岡代表は、顧客の生の声を生かした商品を自ら開発しようと3 年前に同社を設立。これまでに、日差しを遮るインナーバイザーをワンタッチで開け閉めできるヘルメットなど、オリジナル商品を開発してきた。「二輪業界のユニクロを目指す」。そう力を込める片岡代表が手がけるのは、機能やデザインに斬新なアイデアを取り入れ、かつ価格も手ごろな商品の開発だ。例えば、ライダー同士がツーリング中に会話を楽しむインカムに世界で初めてBluetooth(※)を導入。走行中でもハンドルから手を放すことなく操作できるよう工夫した。今年11 月にはこれらの商品をミラノで開かれる国際モーターショーに出品。ヨーロッパやアメリカに販路を拡大するための布石を打つ。

優秀起業家賞

クリエイターが地域資源を商品化

中巳出 理

NAKAMIDE RII

クリエイターが地域資源を商品化

中巳出 理

NAKAMIDE RII

Ante(加賀市)の中巳出理代表が手がけるのは、クリエイティブ集団によるマーケットイン型の企画開発だ。平成21 年に起業後、カメラマンやデザイナー、システム開発者らと連携し、「今、市場で何が売れているのか」という視点から情報を分析した上で、地域資源を生かした商品開発に取り組んでいる。その代表がご当地サイダーブームをヒントに企画した「柚子小町」だ。金沢市湯涌の天然水とユズを使ったサイダーで、ラベルには湯涌ゆかりの画家・竹久夢二の美人画を採用。その後も珠洲の海水塩を用いた「しおサイダー」、「加賀棒茶サイダー」を商品化し、合計100 万本を売り上げるヒットとなっている。今春にはしおサイダーの姉妹品として「しおゼリー」を発売。イルカの絵柄を上部にかたどったゼリーで、能登観光のお土産として人気を得ている。今後はペンギンやシロクマなど、「海のなかま」シリーズとして、全国の水族館や動物園に販路を拡大する。

優秀起業家賞

鳥類の雌雄をDNA鑑定

海老原 充

EBIHARA MITURU

鳥類の雌雄をDNA鑑定

海老原 充

EBIHARA MITURU

絶滅が危ぶまれるトキなど、鳥類の約半分は、たとえ専門家でも外見では雌雄を判別できないと言われる。こうした鳥類、は虫類の雌雄をDNAで鑑定しようというのが、石川県立大学の海老原充准教授が提案したビジネスプランだ。海老原准教授は、だ液など微量のサンプルからDNA を抽出し、動物の雌雄を鑑別する技術を確立。特に、は虫類やペンギンを鑑別する技術は世界で唯一だ。鳥類ならば羽根を1枚、は虫類ならだ液の付いた綿棒を送ってもらうだけで鑑別可能。価格は競合他社の約6 割に抑えられる。日本で1 年間に取り引きされる鳥類は約21 万羽、は虫類はその数倍にも上る。ペット愛好家の中には雌雄を知りたい、つがいで飼いたいといったニーズが高く、ペットショップにとっては雌雄が鑑別できれば商品の付加価値を高めることができる。来秋をめどに会社を設立し、まずはペットショップを対象に営業活動をスタートさせる計画だ。

過去の受賞結果