2012 AWARD 2012年度の受賞者

最優秀起業家賞

色彩豊かな水引でインテリアを制作

廣瀬 由利子

HIROSE YURIKO

色彩豊かな水引でインテリアを制作

廣瀬 由利子

HIROSE YURIKO

廣瀬由利子さんは今年で6 回目を迎えるコンテストで、女性初の最優秀起業家賞に選ばれた。提案したのは、水引を使って建築内装材やインテリアを制作する事業だ。色彩豊かな水引とガラスや木を組み合わせるなどして、照明器具やドア、テーブル、パーティション、オブジェを制作する計画で、購入者層は店舗を建築、設計する首都圏の企業やこだわりの住まいを求める富裕層を想定する。これまで祝儀袋や結納飾りに限定されていた水引の用途を広げ、新たな販路を開拓することで、石川の希少伝統工芸である水引の継承、発展を目指す。廣瀬さんが水引と出会ったのは約12年前。文化交流で訪れたニュージーランドで水引のワークショップに参加し、現地の人々が自由な発想で楽しみながら作る様子を見て、「水引はアイデア次第で多くの人に使ってもらえる」と確信した。その後、事業化に乗り出し、昨年9 月に会社を設立。ブローチやネックレス、かんざしといった装飾品を作り、人気を集めている。インテリアもアクセサリーも制作の基本となるのは「あわじ結び」と呼ばれる伝統的な結び方だ。また、水引を使って刺繍(ししゅう)のように模様を描く「刺し水引」の技術を独自に編み出し、表現の幅を広げた。今年6 月に山代温泉の旅館に大小2,500 個の水引珠(だま)を使った高さ7m のオブジェを納めるなど、インテリア分野での受注は既に始まっている。廣瀬さんは「水引の新しい使い方、飾り方を提案し、メード・イン・ジャパンの手仕事を石川から世界へと発信したい」と話し、海外との取引も視野に入れている。

優秀起業家賞

石川の珪藻土(けいそうど)で軽くて安いピザ窯を

山下 史恵

YAMASHITA FUMIE

石川の珪藻土(けいそうど)で軽くて安いピザ窯を

山下 史恵

YAMASHITA FUMIE

山下史恵さんが発表したのは、石川県の珪藻土を使ったピザ窯の商品化である。特徴は国内の料理店で導入されているイタリア製のピザ窯に比べ、軽くて耐震性に優れ、安価という点にある。このピザ窯は珪藻土で作ったレンガを組み合わせて作る。その結果、イタリア製のピザ窯は最も軽いもので約2.3t の重量があるのに対し、約1.2t にまで軽くすることに成功した。また、ピザ窯に使われるレンガをドーム型にすることで、耐震性を高める。運賃・設置費用を含めた価格は130 万円で、イタリア製の240 万円よりも大幅に安い。商品化に当たっては県内企業と連携。もちろん、外はパリっと中はモチっとした食感に焼きあがる。山下さんは「軽量なので、重量の制約があって不可能だったビルの上階にも設置できる」と話し、来年1 月の販売開始を目指す。

地産地消型のチェーン店モデルを構築

河村 征治

KAWAMUR SEIJI

地産地消型のチェーン店モデルを構築

河村 征治

KAWAMUR SEIJI

河村征治さんは石川発のハンバーガーチェーン店の展開について事業プランを披露した。「毎日食べられる健康的でバラエティのある商品を、毎日食べられる価格で提供する」。そんな思いを実現するため、河村さんが考えたのが、食材を一次加工するセントラルキッチンの近隣に、店舗を集中的に出店する仕組みだ。一つのセントラルキッチンにつき10 店舗を展開できれば、大手全国チェーン店のように大規模な工場や物流網を構築しなくても、鮮度のいい地元の食材をまとめて仕入れ、オリジナルメニューを低価格で提供できるという。河村さんは既にセントラルキッチンを建設し、「ワンダフル」の店名で金沢市とその近郊に4 店舗を開店。今後、県内での10 店舗展開を目指す。将来的にはこうした仕組みを全国20 都市で展開し、地域ごとにご当地バーガーを提供する「地産地消型のチェーン店モデル」を構築する計画だ。

レンタル、リニューアルで中古ピアノを再生

宮本 冬樹

MIYAMOTO FUYUKI

レンタル、リニューアルで中古ピアノを再生

宮本 冬樹

MIYAMOTO FUYUKI

ピアノ調律師の資格を持ち、工房併設型のピアノ専門店を経営する宮本冬樹さんが提案したのはピアノのレンタル、リニューアル事業である。レンタル事業は中古ピアノを貸し出す仕組みで、価格は月々3,675 円から。毎年調律してくれて、6 年間借りれば、そのまま顧客のものになる。「子どもにピアノを買いたいが、本物は高価だし、いつまで続けるか分からないので」といった理由で電子ピアノを選ぶ家庭が主なターゲットだ。昨年からサービスを開始し、既に小松・加賀で50 台を納入。5年後に北陸3 県で300 台の受注を目指す。一方、リニューアル事業は、中古ピアノの弦やハンマーなどをドイツ製高級ピアノの純正部品に取り替えて音色を良くしたり、色やロゴを変えたりして、ピアノを再生するサービスだ。宮本さんは「一人でも多くの人に本物のピアノの音色を届けたい」と事業拡大に意欲を燃やす。

過去の受賞結果