最優秀起業家賞
最高5 0 0万円の事業資金が交付される最優秀起業家賞に選ばれた島崎猛夫さんは、「新しい細胞培養器NICO-1(ニコイチ)による新規市場開発と新しい研究分野開発」について発表した。N ICO-1は、がん細胞と正常細胞など2種類の異なる細胞を同じ条件で培養し、相互作用などを観察するための容器である。従来型は2つの容器を上下に重ね、フィルターを通して培養液を共有する仕組みで、顕微鏡では底面の細胞しか観察できないなどの欠点があった。一方、N ICO -1は2つの容器を隣り合わせに連結し、培養液を共有するため、今まで見えなかった部分が観察できるなど、従来型の欠点をすべて克服し、新たな成果が生まれている。また、容器を接続しても漏れないようにするなど、製造には高い技術が必要だが、医薬品容器製造で実績のある伸晃化学(金沢市)と連携し、生産体制を整えた。成長著しい再生医療分野の研究などで利用を見込んでおり、既に全国の大学、研究機関、企業に納入を始め、国内大学のiP S細胞研究所でも使われている。価格は従来型と同等だ。日本と海外で特許を出願中で、シンガポールでは既に成立した。少なくとも国内では2〜3億円、海外で20〜30億円の市場規模があり、5年後には1億円の売り上げを目指している。