最優秀起業家賞
500万円のスタートアップ補助金が交付される最優秀起業家賞に輝いた宮地邦男さんは歯科手術向けの痛みのない極細麻酔注射針について発表した。現存する注射針は最も細くて直径約180μmだが、千葉大学が特許を保有する光渦レーザー加工技術によって製造する注射針は直径約80μmと蚊の針に近い細さを実現し、痛みを伴わない。しかも中空構造になっていて適量の薬剤を注入できるようになっているほか、生体適合性に優れた材料を使用しており、宮地さんは「こうした特徴をすべて兼ね備えているのは我々だけ」と胸を張る。用途として有望視しているのが、歯科手術の麻酔用注射針である。歯科医療の現場では、麻酔注射の痛みと恐怖で患者が拒否反応を示して手術に支障を来す場合がある。また、麻酔を注射する前に、注射による痛みを軽くする表面麻酔を使うため、処置時間が長くなるのも課題だ。そこで宮地さんが無痛針を用いて開発しようと考えているのが、貼るだけで麻酔薬を投与できるパッチ薬である。開発にあたっては白山市に本社を置く歯愛メディカルと連携する。今後は製造企業と業務提携し、使用権のライセンス提供で収益を得る計画で、将来的には年商60億円を目指す。製品は2020年の発売を見込み、宮地さんは「我々が未来の医療を変えます」と意気込んでいる。